SHORT REVIEW

『憐れみの3章』Kinds of Kindness(2024)-Yorgos Lanthimos

acinephile

『憐れみの3章』

 ヨルゴス・ランティモスが監督の最新作『憐れみの3章』。『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』のエマ・ストーンと3度目のタッグとなり、第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門においてジェシー・プレモンスが男優賞を受賞。キャストはそのままに異なる役とストーリーの3部作で構成されているという、世にも不思議な作品に仕上げられている。

Trailer

作品短評

 狂っているようで、身近な弱い人間の3章。人間関係とはおおかたこの3つに分けられるのか……と妙に納得させられた。ランティモス作品で常々描かれている「不条理」や「支配」についてより明確に示されており、気付けば自分の深いところまで浸透する不思議。善悪も愛憎も自由や不自由も、そして生死も、結局のところ当の本人次第で、わたしたち人間ってほんと滑稽なほど一生懸命で真面目というか。

それにしても3章で同じ役者がまったく異なる役を演じているのには痺れた。実験的でもあり、役者の力量がもろに出て、エンタメとしてもとても楽しませてもらった。やはりランティモスは唯一無二。

作品情報

映画『憐れみの3章』
公開日:2024年9月27日(金)
監督:ヨルゴス・ランティモス
出演:エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、ウィレム・デフォー、マーガレット・クアリー、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファー
原題:KINDS OF KINDNESS
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ABOUT ME
カリナチエ / CHIE KARINA
カリナチエ / CHIE KARINA
ライター
ファッションブロガー、ウエディングカメラマン、国際医療系NGO広報、モノメディアWEBライターを経てフリーライターへ。映画、カメラ、グルメ記事などを中心に執筆。また映画評論サイト「a Cinephile」を運営中。
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