FILM REVIEW

『はなればなれに』Bande à part(1964)-Jean-Luc Godard

“映画”を愛するあなたにおすすめの映画

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Jean-Luc Godard(ジャン=リュック・ゴダール)がアメリカのDolores Hitchens(ドロレス・ヒッチェンズ)の『Fool’s Gold(愚か者の黄金)』を原作に制作した、長編7作目の作品。日本で劇場公開されたのは、制作から37年経った2001年2月3日であった。

また、当時婚姻関係にあったゴダールとAnna Karina(アンナ・カリーナ)が1964年に設立した映画制作会社「Anouchka Films(アヌーシュカ・フィルム)の第一作である。

この作品は“映画”を愛するあなたにおすすめの映画。サスペンスとユーモラスの要素を併せ持った悲喜劇的な作品に仕上げられており、“映画”の魅力を全て持ち合わせているといってもいいほどだ。

ゴダール信者の私にとっては大切な1本。この作品は私に、“映画”ってこういうことなんだよと教えてくれた。また、近年のゴダール作品が苦手な方でも観やすい内容になっている。

ミステリー、恋愛、コメディ、スタイリッシュ、そして喜怒哀楽と愛……

私が死ぬとき、映画も死ぬ

1983年 ヴェネツィア国際映画祭インタビュー

“映画”を愛する全ての人に観てもらいたい作品だ。

タランティーノ監督もこの作品が大好きで、自らの製作会社の名前に仏題「Bande à part」と付けたほど。

あらすじ

1960年代のフランス。フランツとアルチュールの二人は英語学校で出会ったオディルに恋をする。そしてオディルが住む叔母の家に大金が隠されていることを知り、3人でそれを盗む計画を立てる……

▶︎観賞ポイント

point 1|Nouvelle Vague(ヌーヴェルヴァーグ)の華Anna Karina(アンナ・カリーナ)

画像出典:『はなればなれに』FB

14歳で短編映画デビュー、17歳でモデルとして活動しはじめた頃にCoco Chanel(ココ・シャネル)によって芸名を授けられたAnna Karina(アンナ・カリーナ)。ゴダールのミューズとしてヌーヴェルバーグを牽引した大女優、映画史上最高とも名高いヒロイン。

とにかくめちゃくちゃ可愛い。オープニングのタイトルインから誰もが彼女に釘付けになるはずだ。この作品には、彼女も魅力が余すことなく溢れている。まるで彼女のための映画のようだ。彼女の目の演技がとても好きで、目から放たれるオディルという人間の感情が観賞するわたしの胸に染み渡った。

point 2|今も語り継がれる2つの名シーン

画像出典:『はなればなれに』FB

この作品の中には映画好きの間で語り継がれている名シーンが2つある。ひとつは、カフェでのダンスシーン。一度観たらもう一生忘れられない。みずみずしくて美しい。これぞ映画。そしてもうひとつはゲリラ撮影が行われたあの美術館での……。詳細は観てからのお楽しみに。

▼作品データ

『はなればなれに』(フランス)
原題:Bande à part
公開:1964年
原作:『Fool’s Gold』Dolores Hitchens
監督・脚本:Jean-Luc Godard
撮影:Raoul Coutard

▼観賞データ

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