FILM REVIEW

『ロシュフォールの恋人たち』Les Demoiselles de Rochefort(1967)-Jacques Demy

acinephile

▶︎花畑の中、空を見上げた時のような気分にさせてくれる映画

新文芸坐で上映されていた『ミシェル・ルグランとヌーヴェルヴァーグの監督たち』の最終日に滑り込みで観賞。

Jacques Demy(ジャック・ドゥミ)監督とMichel Legrand(ミシェル・ルグラン)のタッグは最高で、映画というエンターテインメントの魅力を余すことなく魅せ付けてくれる。この作品は好きとか嫌いとかいう前に、お守りのような感覚で持っておくと良いだろう。心がちょっぴり疲れた時も、反対に元気いっぱいのときもきっとあなただけの特別な時間をくれるはず。そう、花畑の中、空を見上げた時のような気分にさせてくれるのだ。

それは決してメルヘンというわけではない。ミュージカル映画が苦手な方にも、ハッピーでキラキラが苦手な方にもぜひ観てもらいたい作品だ。

▶︎あらすじ

https://youtu.be/vZFK8svwtxA

フランス西南部のロシュフォール。そこで年に一度開催される祭りを2日後の控え、街は準備をする人々や、祭りを待ちわびる人々の活気で満ちていた……

▶︎観賞ポイント

point 1|Michel Legrand(ミシェル・ルグラン)のまるで血潮ような映画音楽

もはや説明するまでもないが、Michel Legrand(ミシェル・ルグラン)の音楽がこの作品に命を与えていることは間違えない。第17回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した『シェルブールの雨傘』に続いてのタッグ。

Jacques Demy(ジャック・ドゥミ)が身体を創り、その隅々にわたりミシェル・ルグランが真っ赤な新鮮な血を巡らす。それによって一つの作品という生き物が生まれたのだ。まさに一体となり、この素晴らしい完成体を魅せ付けられる。身体を創造してから血を流したのか?あるいは血を見てから身体を創造したのか?とても気になるところ。(ご存知の方がいらっしゃればご教授ください)

https://youtu.be/uopjMuYY3F8

point 2|Gene Kelly(ジーン・ケリー)とGeorge Chakiris(ジョージ・チャキリス)のキレッキレのダンス

この作品は音楽映画であり、ダンス映画であり、ミュージカル映画であり、アート映画である。中でも『巴里のアメリカ人』『雨に唄えば』で超有名なGene Kelly(ジーン・ケリー)、そして『ウエスト・サイド物語』でアカデミー助演男優賞を受賞したGeorge Chakiris(ジョージ・チャキリス)のダンスは圧巻だ。この二人がいることによって、作品の引き締まり方が天と地ほど変わっているだろう。

とにかくキレッキレ、さらにそこにスマートなユーモアも加わり、わたしたちを笑顔にさせてくれる。

https://youtu.be/vB3mxTJdtY0

point 3|お花畑のような色彩、そして構図

画像出典:Yahoo!映画

この作品を観て、実の姉妹であるCatherine Deneuve(カトリーヌ・ドヌーヴ)とFrançoise Dorléac(フランソワーズ・ドルレアック)の愛らしさに心奪われる女子は多いだろう。もちろんわたしもその一人。ファッションセンスも抜群!60年代のフランスってどんだけよ?と溢してしまうほど、そのお洒落さには驚かされた。

カラフルでまるでお花のような色彩、それらに対するジャック・ドゥミの拘りはものすごく、撮影のためにロシュフォールのファサードを塗り替えたほど。色彩センスも見事だが、構図の美しさにも魅了される。ぜひ色彩・構図のふたつに注目して、そこに隠されたメタファーを探りながら観賞して欲しい。

point 4|ハッピーエンドそれとも?

「花畑の中、空を見上げた時のような気分」はハッピーエンド?それとも?あなたはどう感じるだろう。

▼作品データ

『ロシュフォールの恋人たち』(フランス)
原題:Les Demoiselles de Rochefort
公開:1967年
監督・脚本:Jacques Demy
撮影:Ghislain Cloquet
音楽:Michel Legrand

▼観賞データ

新文芸坐

ABOUT ME
カリナチエ / CHIE KARINA
カリナチエ / CHIE KARINA
ライター
ファッションブロガー、ウエディングカメラマン、国際医療系NGO広報、モノメディアWEBライターを経てフリーライターへ。映画、カメラ、グルメ記事などを中心に執筆。また映画評論サイト「a Cinephile」を運営中。
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