FILM REVIEW

『REEL-UNREEL』(2011)-Francis Alÿs’s

acinephile

▶︎一年のしめくくりに相応しい映画

Francis Alÿs’s(フランシス・アリス)と映像作家のJulien Devaux(ジュリアン・ダヴォー)、建築家のAjmal Maiwandi(アジマル・マイワンディ)の協働による作品。

銀座メゾンエルメスのLe Studioの12月上映プログラム「夢は作り出される」で観賞。同プログラムの『青い犬』目当てでの鑑賞だったが、こちらもまた素晴らしい作品だった。

19分間完全なる釘付け状態であった。それはまるで催眠術にでもかけられたかのような心地だった。

2020年の最後のしめくくりに、胸を張っておすすめしたい1本だ。

ベッドに入りSNSチェックをした後にでも、漫画アプリを開く前にでも。夢の中へ足を踏み入れ前にぜひ鑑賞して欲しい。

作品が鑑賞できるFrancis Alÿs’s公式サイトはこちら

▶︎あらすじ

アフガニスタン、カブール旧市街。石造の家々と、舞い上がる砂埃の灰色の世界の中、子供たちが映画のフィルムが巻かれたリールを転がして遊んでいる……。

▶︎観賞ポイント

リールが転がる、ただ転がる。それはまるで永遠に続くかのようだ。そしてその背景には、カブールの街の様子や人々の暮らしが映し出されている。

そこにあるのは人と人との友愛、命。そして、私たちの世界。まるで遠い知らない世界のようで、私たちと同じ世界の出来事なのだ。

リールが転がる、私たちの命が転がる。誰かがそれを投げ出そうとする、誰かそれを掬いあげようとする。実は身近で、だれにでも重なることなんだろう。

未曾有の2020年。辛かった、苦しかった。けれどわたしたちの命のリールは未だ転がり続けている。この先それをどうするのかは、これからも自分自身で選択し続けなければならない。ただ忘れてはならないことは、人は人を支えているということ。

▼作品データ

『REEL-UNREEL』(アフガニスタン)
公開:2011年
アーティスト:Francis Alÿs’s
撮影:Julien Devaux(映像作家)/Ajmal Maiwandi(建築家)

▼観賞データ

・Le Studio

ABOUT ME
カリナチエ / CHIE KARINA
カリナチエ / CHIE KARINA
ライター
ファッションブロガー、ウエディングカメラマン、国際医療系NGO広報、モノメディアWEBライターを経てフリーライターへ。映画、カメラ、グルメ記事などを中心に執筆。また映画評論サイト「a Cinephile」を運営中。
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