FILM REVIEW

『バッファロー’66』Buffalo ’66(1998)-Vincent Gallo

acinephile

▶︎最近マジでついていないあなたにおすすめの映画

日本版のキャッチコピーは「最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた」。

最近、いいことあった?

この作品は最近マジでついていないあなたにおすすめの映画。何をやってもうまくいかない、注意しているはずなのに足をぶつけてしまう、なんでわたしだけ?なんでぼくだけ?そんなあなたに小さな希望を見せてくれる。

安心せよ、世の中にはこんなにもダメな男がいるんだぜ。

▶︎あらすじ

5年の刑期を終え出所したビリーは、尿意をもよおす。ようやくトイレを借りることができる建物にたどり着き用を足すと、ある理由でそこで開催されていたバレエ教室でレッスンをうけていた少女レイラを拉致する……

▶︎観賞ポイント

point 1|もはや可愛いVincent Gallo演じるビリーのダメ男っぷり

画像出典:Yahoo!映画

真面目に最低な男ビリー。こんなダメな男、ついていない男がいるのか。けれどストーリーが進むにつれ、Vincent Gallo(ヴィンセント・ギャロ)演じるこのキャラクターが愛おしく思えてくる。

それは、ビリーが「人間」そのものであるからだ。

繊細で今にも壊れそうな人間。素直になれない素直すぎる人間。欠陥だらけでもいい。人は決してひとりじゃない。

point 2|キュートすぎる女神Christina Ricci

画像出典:Yahoo!映画

『アダムスファミリー』のウェンディー役で人気を博したChristina Ricci(クリスティーナ・リッチ)。この作品ではビリーに振り回されるレイラ役に。

レイラはただ振り回されるばかりではなく、ビリーの繊細さにすぐに気付いていた。そして彼を受け入れ大きな愛で包む、まさに女神。ふたりの不器用でぎこちない関係を観ているだけで、ごく自然にくすっと笑いが溢れるだろう。

point 3|スタイリッシュな映像と音楽

ギャロと言えば、Jean-Michel Basquiat(ジャン=ミシェル・バスキアとGrayというノイズバンドも組むなど、俳優のみならずミュージシャンや画家など多才なことで知られている。

本作品でも監督・脚本・音楽・主演まで務めている。グレーがかったノスタルジーな映像と、King Crimson(キング・クリムゾン)のプログレッシブ・ロックな選曲で、彼独特の世界観に仕上げられている。

point 4|ラストのふたり

この作品を鑑賞していると、ダメ男ビリーやその他に対して苛立ったり不快に思うことがあるかもしれない。そんな時は、作品の人間を深く奥まで観るように意識しながら進めてほしい。そしてラストまで必ず観て。すると鑑賞しているあなたの心が、不思議な感覚を覚えるはず。

会いたい人に会いに行こう。そしてギュッと抱きしめよう。

▼作品データ

『バッファロー’66』(アメリカ)
原題:Buffalo ’66
公開:1998年
監督・脚本・音楽・主演:Vincent Gallo
撮影:Lance Acord

▼観賞データ

DVD

ABOUT ME
カリナチエ / CHIE KARINA
カリナチエ / CHIE KARINA
ライター
ファッションブロガー、ウエディングカメラマン、国際医療系NGO広報、モノメディアWEBライターを経てフリーライターへ。映画、カメラ、グルメ記事などを中心に執筆。また映画評論サイト「a Cinephile」を運営中。
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